先人の叡智を学ぶ 方広寺本堂・平成大修理

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大本山奥山方広寺では現在、本堂の屋根葺き替えと耐震補強工事が弊社と松井建設株式会社のJVによって行われています。

 明治38年から大正初期にかけて建てられた本堂は、間口32メートル、奥行き27メートルという東海地方でも屈指の建造物で、一度に700名が座禅できるほどの大きさです。毎年10月の十五夜に近い日程で観月の夕べが開かれる、中村建設にとっても関わりの深いお堂です。

 素屋根(工事のための仮設の屋根)ですっぽりと覆われている現場を訪問し、担当責任者である弊社横田グループ長と、松井建設(株)名古屋支店の西川工事長に工事について聞きました。

 現在の工事状況は、古い屋根瓦と葺き土を取り除き、本堂各所の補強を行うため、骨組みを残したような状態になっています。現場に入るとまず、横幅38メートルの大屋根の壮大な姿に圧倒されます。その屋根を支え、普段は隠れている梁、柱、また唐破風の見事な造作などを見ることができます。改修工事とはいえ、このような機会は稀なために、参拝客にも見学会が催されるとのことでした。今年中には瓦の葺き替えが終了する予定とのこと。4万枚近い瓦とその下に盛られた葺き土の厚み、量を聞くと、当時の工事のたいへんさが想像されます。実際に降ろした旧鬼瓦が本殿横に展示されていましたが、間近に見るその大きさには驚くばかり。クレーンもない時代に高さ20メートルの屋根の上に据え付ける場面を見てみたくなります。

 寺社の改修、復旧工事を専門に行っている西川さんによれば、どんな小さなお寺や神社の改修工事でも、必ず感心させられる部分がひとつやふたつはあるとのこと。「この本堂では床板が非常によい仕上がりで、90年以上経っているとは思えないほど隙間のないきれいな状態でした。」と話してくれました。今回の工事では全ての屋根瓦を新しく葺き替えますが、本堂西側の勅使玄関の飾り瓦がたいへん珍しいもので、動物や雅楽器だけでなく、バイオリンの形をした瓦があり、西川さん曰く「現在の技術ではとても再現できないもの」であるため、焼き直してまた取り付けるそうです。先人の知恵と労力、仕事の丁寧さには頭が下がるとも話してくれました。

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 また横田グループ長は「一般の人だけでなく、建設に携わる人間が昔の宮大工の仕事ぶりを見られるたいへんよい機会、この仕事に関わり、工事を見守っていける喜びと責任を感じます。」と結んでくれました。

 文化遺産に匹敵するような大切な建物であり、多くの参拝者のよりどころでもある方広寺本堂。先人棟梁たちの仕事ぶりに敬意を払いつつ、現代の工法を生かしながら再生していく作業は来年の8月まで続きます。