浜松城天守門整備工事

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 当現場は、浜松市公園課で発注された木造新築工事です。天守閣のすぐ西側の位置に建設し、浜松地域や近隣の方などから注目される工事だと思いながら施工を進めています。


◆石垣に優しい工法

 一般的に石垣上に城郭建物を復元する場合、建物基礎の強度を保障するため、既存の石垣を一旦下まで解体して補強しながら積み直すことが多いといわれます。しかし、浜松城のような荒々しい野面積みの石垣を元と同じような形に積み直すことは不可能に近いといえます。

 また、石垣の裏側からコンクリートで固めるという方法もありますが、この場合は背後の裏込め石を破壊し、石垣本来の排水機能や価値を損なうことになります。

 天守門では両側の土塁の中に直径1mの杭を1本ずつ設置することで、現在の石垣へ手をつけずに建物を建てることを可能にしました。この杭は深礎工法と呼ばれる方法で掘削されました。

 深礎工法は、杭孔を人力で掘削するため、杭打ちに必要な大型の掘削機械を石垣上に乗せずに施工でき、石垣に与える振動や圧力がほとんどありません。さらに掘削にベントナイト(掘削用の泥水)などを使用しないため、裏込め石や石垣から掘削液がしみ出す恐れもありません。まさに城郭の石垣に最も優しい杭工法といえるでしょう。


201402_01-02.jpg◆地元産木材の乾燥

 天守門に使われている杉・檜・松は、すべて浜松市産材です。特に太い冠木(正面の梁材)や門柱は、天竜区の神妻、横山町などで伐採され、その場所で二ヶ月ほど葉枯らしをしてから運び出されました。葉枯らしとは、日本で伝統的に行われてきた木材乾燥の手法です。  
 
  伐り倒した木の枝をしばらく落とさないでおくことで、木材内部の水分を葉から蒸散させて、自然に木を乾燥させることができます。現代では機械による木材乾燥が普及したため一般に行われませんが、葉枯らしによって自然な乾燥収縮ができます。

担当:建築本部 松下 誠