
東区安間町の金原明善の生家は築約200年の木造家屋です。「歴史ある建物を有効活用したい」と金原治山治水財団による再整備が計画され、弊社と玄建築設計室が再生工事を請け負い、昨年8月より本格的な改修工事を行ってきました。
当社工事担当の池田英稔をはじめ、金原明善生家再生工事に携わった方々にお話を伺いました。

30年あまり手つかずであった生家は、屋根と天井の一部が落ち、柱が傾いているところが随所にあり、まず屋根を含めた建物自体の改修と補強をしなければいけない状態だったとのこと。そのため、昔ながらの日本瓦葺きだった屋根は、内部の20t分の土を撤去して、土を使わない引っ掛け桟瓦葺きとして軽量化を行いました。また、傾いた柱はワイヤーとウインチでゆっくり補正しながら、ボルトで固定していく方法で改修を行っていったそうです。




設計監理の(有)玄建築設計室・金子氏に今回のような「再生工事」の難しさを問うと、「難しいのはどこまで修繕するかという点ですね。建物の状態を見、今後どのような使い方をしていくのかということを踏まえてプランを立てます。今回は屋根はすべて葺き替えています。100本以上の襖、障子などの建具は修繕していますが、床材や敷居はできる限り補修してもともとあったものを使っています。例えば、茶室の襖は当時のままのものですが、一枚だけ新しく作りました。」と金子氏。
|
|
また、土や草に覆われていた庭は再生を行いました。
しかし、耐久性を考え、窓はサッシに変更、また木塀は新しく作り直すなどのリフォームなどは随所に行われています。
また、今後来場者があることを考え、外にトイレを新築。これは生家のデザインに合わせた和風建物で、ユニバーサルデザイン仕様になっています。


今回当社の下請けとなり、改修に携わった山喜建築の山本氏は、「このタイミングで改修したのは良かったと思います。」と言います。経験から、この段階で改修しなければ、再生しづらい状態になっただろうということでした。各地の古民家、寺社の再生事業に携わっている山本氏は、日本建築の良さ、職人の技術力の高さを再認識して欲しいと熱く語ってくれました。
関係者の話の中で繰り返し聞かれるのは、当時の木材の丈夫さ。昔はどの場所に使う木か決めて木を切り出したそう。当時の大工は木の癖を見抜き、柱、梁と加工して組んでいったとのこと。山本氏の「だから丈夫なんですよ」という話は説得力がありました。
また、耐震という視点から見ると、現在の建築とは違う方法で建てられている生家ですが、度重なる地震に耐えてきていることから、地震に強い家というのはどういう家なのか、現在の工法のヒントとなる仕様がたくさんあるとのことでした。
「古民家再生は昔の職人の技術と知恵を勉強する絶好の機会」と金子、山本両氏。
当社の池田は、この工事で日本家屋の良さを再認識したと話します。「工法だけでなく、細かい仕様や佇まいのようなものが心地よく、畳や襖などは安らかな気持ちになれるんだということを改めて感じました。」
また、こういう工事に携われたことはそれだけで嬉しいことで、またこういう工事をやりたいと話していました。
旧東海道沿いにある金原明善生家は向かいの明善記念館とともに、地元民にはなじみの深い建物です。古い建物が再生され有効活用されることは、次世代へと様々な知識や技術を継いでいくことにも繋がります。今回は工事規模以上に大きな役割を担った工事だと感じました。


![]()

