【特集】街のシンボルである「浜松城」の改修工事に携わりました。

  • 投稿カテゴリー:特集記事

大河ドラマ「どうする家康」~家康 ゆかりの地・浜松~

令和5年1月から放映される大河ドラマ「どうする家康」に合わせた浜松城天守閣外装改修工事(発注者:浜松市)を中村建設にて施工させて頂きました。

浜松城天守閣は1958年(昭和33年)の完成から築64年が経過しております。その間に何度か天守閣の外壁の塗替えは行われてきましたが、装飾金物を全て改修するのは今回が初めてとなります。

◎工事概要

主に天守閣の「外壁・装飾金物・ 屋根・建具」の改修工事を実施しました。特に注目頂きたいポイントは「錺(かざ)り金物」です。京都の専門業者に依頼し、破風(はふ) 錺りをはじめとする各種銅製金具類を金色に塗り直しております。

 

▽施工前(破風) ※破風:屋根の妻側の端部分に取り付けるもの

▽施工後(破風)

▽施工後(長押) ※長押:日本建築に見られる部材で、柱を水平方向に繋ぐもの

▽天守閣正面玄関

 

また、これまで展望台に設置されていた転落フェンスを撤去し手摺を改修したことより視野が開け、より開放感のある眺望になりました。

default

是非現地に足を運んで頂き仕上がりを楽しんで頂ければと思います。

◎苦労した点や工夫した点について

外部足場の組み方を考えるのに苦労しました。 通常の住宅や店舗等に比べて建物の形状が特殊だったことに加え、「石垣の上に足場を建てること ができない」・「地中に文化的価値がある物が埋まっているため控えの杭が打てない」という厳しい制約がありました。

綿密に施工図の作成・検討をし、当初設計では天守閣東面の通路にも足場が設置される予定でしたが、検討の結果、通路には足場が設置されず、来場者の方々がスムーズに通行できるように足場の施工することができました。

 

外部足場の組立後に、外壁補修の施工数量調査のため「ひび割れ・浮き・欠損」について打診検査等を行いました。調査してみると実際は浮き・欠損面積が想定の3倍弱ほどあることが分かりました。また、大部分が漆喰下地になっていることを確認しました。漆喰の浮きを補修することが前例として無かったため、検討に時間を要しました。

試験施工・引張接着力 試験・浜松市との協議を行った結果、浮き面は「アンカーピンニング全面・部分エポキシ樹脂注入工法」、欠損面は「エポキシ樹脂モルタル充填工法」を採用し施工を行いました。工期と予算の兼ね合いで漆喰の塗替えはできませんでしたが、塗装前の下地処理を工夫したため仕上げ面を綺麗にすることができました。

城の改修工事を担当するという滅多に経験することができないなかで、様々な追加工事が多々ありましたが、その都度検討・協議等を綿密に行い、機能や美観を損ねることなく無事工期内に工事を完了させることができました。

 

今回の工事でいかに検討期間が重要かを改めて実感しました。これからも様々な物件を施工する際、検討の時間を大切にして現場管理をしていきたいと思います。無事に無事故・無災害で竣工を迎えることができたのは、近隣の皆様をはじめ協力業者の方々、上司、先輩のご協力によるものだと感じております。

 

また、浜松市や指定管理者である遠鉄アシスト様の方々に色々とご協力頂きました。心より感謝申し上げます。

 

【現場情報】

◆発注者:浜松市

◆工事名:令和4年度 浜松城天守閣外装改修工事

◆工 期:令和4年7月13日~令和5年1月13日