【特集】トンネルの補修にIPH工法を採用し大幅な合理化を実現

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(一)日本建設業経営協会主催の建設技術フォーラムにおいて発表をしたトンネル補修の新工法について紹介します。

今回紹介するIPH工法(経年劣化等により傷んだコンクリート構造物の「強度回復」「長寿命化」を実現する技術)は国道152号線の西川隧道(浜松市天竜区龍山町)での維持修繕工事で実施をしました。

本トンネルの問題点は、断面が小さいため車両との接触による損傷が生じることです。従来このようなトンネルの補修には、「①鋼板補強工法」や「②FRPメッシュ工法+鋼板」による補強工法が採用されてきましたが、これらの工法には次の問題がありました。

①の問題点:目視点検を行うことが不可能なため、変状が目視確認できる時点では内部の劣化がかなり進行している場合が多い。

②の問題点:トンネル内のケーブルや配管等の移設が必要なため関係機関との協議を要し、撤去・移設・復旧工事による多大な費用と工期が要する。

前述の問題点を解決するために本工事ではIPH工法を採用しました。本工法は吹付けモルタルの劣化部分や覆工コンクリートとの浮き部分にエポキシ樹脂を低圧注入することで、大きな機械を用いることなく補修補強が可能であり、添架物の移設も不要となります。

実施結果として、付着試験では全て母材で破断しており、高い接着性を確認でき補修効果を担保できました。

本工事では、劣化コンクリートの深部まで樹脂注入が可能なIPH工法の特性を活用して、大きな成果を得ることができました。インフラの長寿命化元年と言われてから7年、新技術が日々開発されおり今後も日々技術を研鑽し新技術の情報収集を怠らず、ライフサイクルコストを意識した社会インフラの維持・管理に努めいきます。