【特集】中村建設社屋を静岡県内ZEBプランナーによる取組みとして紹介。

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静岡県公共建築推進協議会が主催する、脱炭素社会の実現に向けて「ZEBの推進」をテーマとした「公共建築の日」記念講演会の第2部「静岡県内のZEBプランナーによる取組紹介」において、鈴与建設株式会社と中村建設株式会社の2社が事例の紹介を行いました。講演は県及び県内市町の職員対象に行い、一般県民にもYouTubeを通して限定ライブ配信されました。

講演内容は、創立65周年記念事業の一環として、築50余年の旧社屋の建て替えによるプロジェクトを通して「ZEBプランナー」「ZEBリーディング・オーナー」の立場からZEBを目指した本社ビルの事例について行いましたので、一部をご紹介いたします。

建築計画のコンセプトは、①省エネ ②創エネ ③防災対策です。

ZEB化のコンセプトは建物の外皮性能を高めたうえで、高効率でシンプルな設備機器の導入により省エネ化を図り、太陽光発電による創エネを加えることで、コストをおさえながらも快適性を伴った空間の本社ビルZEB化を目指すとなります。

 

具体的には、屋根、外壁の順番で断熱性能を高めます。建物からの熱損失の大半は開口部からです。庇により日射遮蔽し、高性能窓を採用して外皮性能を強化します。次に設備機器の効率化です。空調は高効率のビル用マルチエアコンと除湿能力に優れたデシカント空調システムを採用することで夏場の快適性も向上します。照明器具は全て自動制御としています。

 

創エネとしては、屋上に太陽光発電を54.6kw相当を設置し、防災対策を兼ねた創畜連携のリチウムイオン蓄電池(蓄電容量15kwh)も採用しています。また、このプロジェクトは環境省によるZEB補助事業の採択を受けた実証事業のため、3カ年の実績報告が求められていることもあり、エネルギー管理システム(BEMS)を採用して設備区分ごとのエネルギーの使用量を把握することで運用改善につなげています。

防災対策としては、ゼネコンとして災害時の地域復旧の役割も兼ねているため、災害時に社屋のダメージを最小限とし、いち早く地域復興への活動にかかれるように本社ビルには免震構造を採用。また、給水水源は、上水の他に井戸水を利用することで、災害時には近隣への提供も想定しています。実際に建物を運用した結果(実証事業1年目における一次エネルギー消費量削減率)については、実績値が計画値の83%を大きく上回る92.6%を達成することができました。

社内アンケートにおいても室内環境の評価では、8割近い方から好意的な評価を頂きました。今後、中村建設は「ZEBプランナー」&「ZEBリーディング・オーナー」として、自社のZEB化プロジェクトを通して得た運用実績等のノウハウを提案・設計に活用することで、県内のZEB化の推移に貢献できればと思います。